こんにちは、日野市（平山城址公園）の歯医者、SERAデンタルオフィス 平山城址公園駅前歯科です。

インプラント治療は、失った歯を補う治療法の中でも、見た目やかみ心地が自然であるという特徴があります。
しかし、治療から数年が経過した後に、「インプラントを入れているあたりが痛む」「かむと違和感がある」といった症状を訴えるケースも少なくありません。
こうした痛みは、口内環境の変化や生活習慣、ケア不足が関係していることがあります。
今回は、インプラント治療から数年後に痛みが出る理由や、その原因、痛みを予防・緩和するための方法について解説します。

インプラント治療とは

インプラント治療は、虫歯や歯周病、外傷などによって失われた歯を補うための治療法です。
金属製の人工歯根（インプラント体）をあごの骨へ埋め込み、その上に人工の歯（かぶせ物）を装着して機能回復を目指します。
インプラント体には、生体親和性の高いチタンなどが使用されるため、骨としっかり結合し、安定した支持力を得られるのが特徴です。
入れ歯のように取り外しの手間がなく、ブリッジのように健康な歯を削る必要がない点もメリットです。

一方で、インプラントは埋入後のケアとメンテナンスが不可欠です。
治療後も口内を清潔に保ち、定期的に歯科医院でチェックを受けることが、長期的な使用につながります。

インプラント治療から数年後に痛みが出る理由

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラントを埋め込んだ箇所の周囲の歯ぐきが歯周病菌に感染して炎症を起こす病気です。
治療後の日常的な歯磨きや定期的なメンテナンスが不十分な場合、歯垢や汚れが溜まり、口の中の歯周病菌が増えることで発症します。
初期段階では軽い腫れが見られる程度で自覚症状はほとんどありませんが、炎症が進むと痛みが現れ、歯ぐきやあごの骨が徐々に破壊されていきます。
最終的にはインプラント体を支える骨が失われ、ぐらつきや脱落につながることもあります。

また、インプラント周囲炎は、歯周病よりも進行が速い傾向があります。
そのため、痛みを感じた時にはすでにある程度進行しているケースが多く、早期発見と対応が重要です。

虫歯

インプラント自体は人工物のため虫歯にはなりませんが、インプラントの周囲にある天然歯は虫歯になる可能性があります。
そのため、その痛みをインプラントの痛みとして感じる場合もあります。

 

かみ合わせの変化

長期間インプラントを使用していると、かみ合わせのバランスが崩れることがあります。
インプラントは天然歯と異なり、歯根膜というクッションがないため、咬合力が直接骨に伝わります。
そのため、かみ合わせが変化してインプラントに過度な力がかかるようになると、痛みや違和感が出る原因になります。

インプラントの破損や不具合

インプラント体や人工歯は、過度なかむ力や衝撃によって割れたりひびが入ったりする場合があり、そのような破損が原因で痛みを感じることがあります。
また、インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントと呼ばれるパーツのネジが、長期間にわたって加わった力によりゆるむことで、痛みやぐらつきの原因になることもあります。

数年後に痛みが出た場合の対処法

インプラント周囲炎の治療

インプラント周囲炎の治療では、感染を広げる歯周病菌を減らすために、まず歯垢や歯石を除去する処置が行われます。
炎症が強い場合は抗生物質の投与や、薬剤による患部の洗浄を行うこともあります。
また、炎症の範囲が広い場合には、外科的処置が必要になることもあります。

虫歯治療

インプラント周囲の天然歯に虫歯ができた場合は、虫歯治療が必要です。
インプラントの隣接歯が虫歯になると、かむ力のバランスが変わり、インプラントに余計な負荷がかかることもあります。
そのため、虫歯の早期発見と早めの治療が、インプラントを長持ちさせるためにも重要です。

インプラント体の修理・交換

インプラント体や人工歯に破損が見られる場合は、修理や交換が必要です。
破損した状態のまま使用を続けると、痛みが増すだけでなく、インプラントの使用自体が困難になることもあります。
破損の程度が大きい場合は、再手術でインプラント体を取り除き、新しいものに交換する必要があります。

アバットメントの調整

アバットメントに緩みが生じると、痛みやぐらつきの原因となります。
アバットメント自体が破損している場合には交換が必要ですが、締め直しだけで済む場合は短時間で対応可能です。

痛みを予防するための方法

日々のオーラルケア

インプラント治療後の痛みを防ぐためには、日々のセルフケアが重要です。
インプラント周囲炎の主な原因は、口内に残った歯垢のため、丁寧なブラッシングを続けることでリスクを大きく下げることができます。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、歯間やインプラント周囲の磨き残しを減らすようにしましょう。

禁煙

インプラント治療後の痛みやトラブルを防ぐためには、禁煙が大切です。
タバコは免疫力を低下させるため、インプラント周囲の炎症や感染症のリスクを高めてしまいます。
血流の悪化による、治癒の遅れにもつながります。

定期検診の受診

インプラント治療後は、定期的なメンテナンスを続けることが重要です。
インプラント周囲炎は初期段階では自覚症状がほとんどないため、歯科医院での検診が欠かせません。
定期検診でインプラントやその周囲の異常の有無、かみ合わせの問題などを確認することで、早期発見が可能になります。
また、定期的に歯科クリーニングを受けることで、口内を清潔に保つことが可能になり、インプラント周囲炎の予防につながります。

まとめ

インプラント治療の数年後に痛みが出る原因としては、インプラント周囲炎や隣接歯の虫歯、かみ合わせの変化、インプラントやアバットメントの破損などが考えられます。
これらのトラブルは早期に発見して対処することで、症状の悪化やインプラントの損傷を防ぐことができます。
日々の丁寧なブラッシングや、フロス・歯間ブラシによるケア、禁煙、そして定期的な歯科検診は、インプラントを長く安定して使うために欠かせません。
定期的なメンテナンスと正しいケアを続けることで、インプラントと口内環境の安定を維持していきましょう。